マンション リフォームにおける間取りの考え方について
2023年2月15日 更新
マンションのリフォームは、戸建て住宅と比べると改修できる範囲が狭いです。決められた規約の中で理想の間取りを作るには、確認すべき事項やいくつかのコツを知る必要があります。
本記事では、マンションのリフォームで間取りを考えるときのポイントと注意点を中心に解説します。
間取りを決める前の確認事項
マンションのリフォームにおいて、間取りを決める前に、リフォームできる範囲とマンションの構造を確認しましょう。それぞれについて、詳細をご説明します。
リフォームできる範囲
マンションのリフォームにおいて、マンションの住民が自由に改修工事をできるのは、基本的に専有部分のみです。エントランスホールやエレベーターはもちろんのこと、自宅からつながっていたとしても廊下やベランダは共有部分とされ、当たり前ですが、勝手に工事はできません。
リフォーム可能な範囲はマンションの規約によって定められていますので、間取りを設計する前に確認しておきましょう。
マンションの構造
マンションの構造は、「ラーメン構造」と「壁式構造」に分かれています。構造の違いはリフォームにも影響するため、確認しておきましょう。
ラーメン構造
ラーメン構造は柱と梁によって、建物を支える構造です。壁は仕切りの役割しかないため、壁を壊して大規模な間取りの変更ができます。ただし、柱や梁の位置は変えられず、リフォームのネックになることもあります。
壁式構造
壁式構造は柱を使わずに、壁で建物を支える構造です。柱の出っ張りがないスッキリとした内装にでき、耐震性も高い作りですが、壁の撤去・移動は基本的にできません。
住みやすい間取りの設計方法
住みやすい間取りを作るには、住人の家族構成やライフスタイルに合わせ、実際の生活を具体的に想像することが大切です。以下の4つのポイントはぜひ押さえましょう。
1. 家族の人数に合わせる
間取り作りの基本は、生活を共にする家族の人数と生活環境を考慮し反映させることが必要です。特に家族全員が揃うリビング・ダイニングや、人数分の靴収納が必要な玄関は、狭すぎると生活のストレスになってしまいます。
小さいお子様がいる場合は、将来的に成長して体が大きくなることも考慮して、少しゆとりのある広さにしておくと良いでしょう。
2. ライフスタイルの変化を考える
家族が増える、成長した子どもが巣立って夫婦2人で過ごすなど、間取りを考える上では、こうした家族の人数やライフスタイルの変化まで考慮するのがおすすめです。
可動式の壁で間取りを変えられる余地を残したり、将来的にバリアフリー化を考えた作りにしたり、なるべく追加工事が必要ない間取りを考えましょう。
3. 生活動線を意識する
リフォームするからには開放的でおしゃれな間取りにしたいところです。しかし、実際に生活をする上で不都合やストレスになる部分があっては、せっかくのリフォームが台無しになってしまいます。
見た目だけでなく、生活動線をしっかりと意識した間取りにしましょう。家の中で良く行き来する場所や頻繁に使う収納場所は広くするなど、現在の生活を軸に考えて不自由のない間取りにすることが大切です。
4. 通気性・採光性をよくする
窓は、マンションの共有部分とされていることが多く、リフォームによって移動したり、形を変えたりすることは基本的にできません。そのため、通気性・採光性を確保するには壁や間仕切りなどの位置を考慮する必要があります。
部屋を分割する場合は、窓の位置に注意をしましょう。窓がなくなり部屋として機能しなくなるという可能性があります。
マンションの間取りリフォーム例
ここからは、マンションにおけるリフォーム事例をご紹介します。間取りを考える際に、ぜひ参考にしてください。
廊下をなくしてLDKを広くする
玄関、LDKやトイレ、バスルーム、居室などは廊下によりそれらがつながっていますが、間取りによってはその廊下が無駄なスペースになっていることもあります。
この問題を回避するためには、廊下をなくしてLDKの面積を広げるという方法が一つあります。キッチンやリビングが広くなって生活しやすくなるでしょう。さらに、廊下を無くした分、収納を増やすこともできるので、使い勝手も改善できます。
スキップフロアで書斎を作る
近年は在宅ワークが増えて、書斎が欲しいと考える人が増えました。しかし、マンションで部屋を増やすリフォームは難しいです。
天井高さに余裕がある場合、スキップフロアの高低差を利用する方法があります。スキップフロアとは、1つの階に複数の高さのスペースがある間取りのことを指します。 少しの段差でも空間の境界がはっきりして、書斎スペースが完成します。ロールスクリーンや衝立で壁を作れば、オンライン会議の際も背後が気になりません。
使わない部屋を趣味の部屋として活用
あまり使わない和室や独り立ちした子どもの部屋など、使わなくなった部屋を収納部屋として使ったり、リビングを拡張したりすることだけでなく、趣味の部屋として活用することも多くなってきています。映画を楽しむためのシアタールームや、気兼ねなく楽器を楽しむための防音室、最近ではプライベートサウナを設置することもあります。マンションのリフォームでも可能なことは多々あります。検討してみてはいかがでしょうか。
間取りを設計する際の注意点
マンションのリフォームは、戸建てよりも制約が多いです。間取りを作るときは以下の点に注意しましょう。
1. マンションの規約を確認する
専有部分と共有部分の扱いや、その他のさまざまな規約は、マンションごとに大きく違います。リフォームに関連する事項もありますので、必ず住んでいるマンションの規約を確認しましょう。不明点がある場合は、管理会社に問い合わせて、工事可能な範囲を明確にしてください。
2. ベランダや専用庭は共有部分
ほとんどの場合、ベランダやバルコニー、専用庭は共有部分(正確には専用使用権が付与された共用部分)です。普段は自由に使って良いスペースですが、リフォーム工事をする際はどの範囲まで許されるのか確認しましょう。
3. 水回りの移動は難しいことがある
水回りを移動するためには、配管も移動させなくてはいけません。そのため、配管の傾斜やマンションの構造によっては、移動できないことがあります。
水回りの移動を考える場合は事前に調べておきましょう。
マンションのリフォームは規約の範囲内で行おう
マンションのリフォームは、戸建て住宅と比べると複数の制限があり、改修できない場合もあります。お住まいのマンションの規約を守った上で、家族の人数やライフスタイル、将来のことを考えて間取りを作りましょう。
間取りづくりは悩む部分が多いですが、考え抜いて作った空間は宝物になります。プロの力も借りて、ぜひ理想の間取りを完成させてください。