最小限の工事で空間を大きく変える。
「部分リフォーム」で出来ること。
岡崎市N様邸
DATA
所在地 | 岡崎市 | 築年数 | 築26年 |
建物タイプ | 一戸建 | 構造 | 木造2階建 |
階数 | 2階建 | 工事期間 | 30日間 |
家族構成 | ご夫婦、お子様1名 | ||
リフォーム箇所 | リビング、ダイニング、キッチン、バス、玄関ホール |
- アイシンリブラン 足立 拓哉
リフォームのみどころを解説
LDKの一体感
問題点
- 以前はリビング、ダイニング、キッチンがL型に配置され、各室が建具や垂壁で区画されていました。
- 室としては一応連続しているが一体感がなく、キッチンで調理していると孤独感がありました。
- LDKのL型配置を直そうとすると、階段の移設が必要となり、予算や工事規模の面から現実的ではありません。
解決策
- L型配置は保ったまま、間仕切り建具、垂壁、構造上不要な小壁を撤去。
- 3つのゾ一ンの天井高さをそろえて連続させました。
- 加えて、3つのゾーンを貫くように、高さを抑えた木天井を付加して、視覚的な連続性、一体感を演出。
- キッチンと冷蔵庫の配置を逆転させることで、お料理の際、リビングまでの距離が少しでも縮まるようにしました。
既存利用物の把握
問題点
- 予算の関係上、今回の工事は全解体〜全新設(スケルトン工事)ではありません。
- 下記のようにLDK の中で解体・破棄されずに再利用されるものが多いため、これらを制約として考慮する必要がありました。
- 壁面リビングボ一ド → 数年前に新設されたばかりで、解体はおろか、脱着もコスト的に不可。
- 壁面カップボード → 数年前に新設されたばかりで、解体はおろか、脱着もコスト的に不可。
- 床フローリング → 年数は経ているが、劣化度が小さく他室ともバリアフリーのため、原則そのまま。
- ソファセット → N様ご愛用品で完工後も利用。色(オリーブ色) が特徴的で、意匠上無視できない。
このような制約の中で、残るものと新しく加わるもののバランスを取る必要がありました。
解決策
- 新規に加える色を限定しました。(白、グレ一、木調、青)
- 素材やディテールをシンプルにまとめることで、新旧の混在するゴチャゴチャ感を抑制しました。
- 一部の壁の解体によって、どうしても床を補修する必要がありましたが、この制約を逆手にとり、ダイニングとキッチンは既存フ口一リングの上にフ口アタイルを重ね貼りしました。工事費を抑えてバリアフリーを保ちつつ、リビングとダイニングをゆるやかにゾ一ニングしました。
無造作に床・壁を埋める「物」の把握
問題点
- LDKには面積許容量以上の家具や物が置かれ、壁面には絵画・鏡・プリント等が無造作に飾られていました。
- 統一感が無くゴチャゴチャした印象。面積があり天井も高いが、広がり、大らかさを感じにくくなっていました。
- 特に気になったゴミ箱。人の動線付近や目に付きやすい場所に置かれていました。
解決策
- 設計段階で「物を滅らす」という引算の考え方をN様と共有。
- 必要なものは、あらかじめどこに配置すべきかを事前に検討。
- ゴミ箱は目につきにくいカウンター下に配置するとともに、外部デッキの一部をゴミ箱スペ一スとして計画。
玄関の顔(正面壁)の整備
問題点
- 玄関に入って正面のいわば「顔」の部分に電子ピアノが置かれ、その上が物置と化していました。
- 訪問客が初めて目にする内装としては、生活感が出すぎている印象。
解決策
- 電子ピアノを別室に移動してスペースにゆとりをもたせ、壁面をおもてなしのインテリアとして装飾することに。
- 正面壁をアクセントとして、LDKの木天井と同材(カバザクラ)で仕上げました。
温熱環境の改善
問題点
- LDKと浴室に関して、外部サッシの数が多い、あるいは大きい。
- 採光面で有利な反面、断熱性の低下、冬場の結露に繋がっていました。
解決策
- 全ての窓にインナ一サッシ(複層ガラス仕様)を設置。性能の改善とともに、古いサッシを隠しました。
- 一部新設するサッシについては、樹脂サッシ(AP330)を採用。LDKの熱の出入りを減らしました。