古民家を耐震改修。
「古」と「新」が調和した西尾の家。
西尾市K様邸
DATA
所在地 | 西尾市 | 築年数 | 90年 |
建物タイプ | 一戸建 | 構造 | 木造 |
階数 | 1階建 | 工事期間 | 約5ヶ月 |
家族構成 | ご夫婦 | ||
リフォーム箇所 | リビング、仏間、寝室、ウォークインクローゼット、ホール、玄関・廊下、外壁・屋根 |
リフォームの動機、概要
耐震診断を機にリフォーム。
祖父様の思いが、次代へと受け継がれていきます。
閑静な住宅街の一角にあるK様のお住まい。老朽化を危惧される折り、熊本の地震のニュースが契機となり、西尾市が推進している耐震診断を受けられました。
診断によると「倒壊する可能性が高い」とのこと。その内容をふまえ、弊社に相談をいただきました。当初は、建て直すかリフォームにするか、迷われていましたが、古民家の趣ある風情を残しつつ、耐震性と快適性を高める方向でリフォームを選択。
もともと祖父様が建てられたお住まいであり、床材ひとつ取っても、家族の歴史が刻まれ、様々な思い出が宿っています。現代では入手困難な希少な構造材の数々、そしてそれらを丁寧に組み上げた当時の職人の技術。これらを現代に残す価値があると判断しました。
リフォームでは、西尾市の「木造住宅耐震改修費等補助事業」による補助金制度を活用。心配されていた耐震性も、安心の構造に支えられた、現代和風の美しい空間へ生まれ変わりました。
先祖代々受け継がれてきたお住まいの象徴でもある構造材とともに、未来へ語り継ぎ、受け継がれていく新しい暮らしを楽しんで頂ければと思います。
診断によると「倒壊する可能性が高い」とのこと。その内容をふまえ、弊社に相談をいただきました。当初は、建て直すかリフォームにするか、迷われていましたが、古民家の趣ある風情を残しつつ、耐震性と快適性を高める方向でリフォームを選択。
もともと祖父様が建てられたお住まいであり、床材ひとつ取っても、家族の歴史が刻まれ、様々な思い出が宿っています。現代では入手困難な希少な構造材の数々、そしてそれらを丁寧に組み上げた当時の職人の技術。これらを現代に残す価値があると判断しました。
リフォームでは、西尾市の「木造住宅耐震改修費等補助事業」による補助金制度を活用。心配されていた耐震性も、安心の構造に支えられた、現代和風の美しい空間へ生まれ変わりました。
先祖代々受け継がれてきたお住まいの象徴でもある構造材とともに、未来へ語り継ぎ、受け継がれていく新しい暮らしを楽しんで頂ければと思います。
- アイシンリブラン 足立 拓哉
こだわりポイント
- 耐震補強の徹底。西尾市の「木造住宅耐震改修費等補助事業」の補助金制度を活用。
- 建設当時の構造材や床材、建具などを出来る限り生かす。
- 当時の面影を残す「古材」と今回手を加える「新材」の調和。
- 人を招きたくなる大胆な空間設計。
リフォーム前
- K様邸は、日本の伝統的な民家づくりである「田の字型の家」。部屋は、家の中央部から障子やふすま、廊下で4つに区切られ文字通り「田」の間取り。2階部分(小屋裏)は物置として使われていました。
リフォームのみどころを解説
ホール
2階の床材を取り去り、1階から梁が望めるダイナミックな空間はまるで美術館のよう。小屋組をあらわにした切妻断面の中に2つの杉の箱を配置するというコンセプトです。床材は銘木として珍重されている鉄刀木(タガヤサン)を使用し、様々な構造材の木目や色調など、新旧の個性が見事に融合しました。ご主人様の趣味の美術品を飾ったり、友人・知人が集うなど、豊かな時間を紡ぐためのスペースとして活用されます。
廊下左側:リビング 廊下右側:WIC
リビング・仏間・寝室
ダイナミックな構造材をとり囲むのは明るく繊細な素材。床にはサクラのフローリング、正面壁と天井にはシナベニヤを採用しました。障子の格子とシナベニヤの目地が空間を引き締めます。
原則として当時の「田の字型プラン」を踏襲しているため、建具を解放すれば、リビング、仏間、寝室は1つの空間に。心地よい風が通り抜けるフレキシブルなプランとなっております。南面に新調された8本の障子は柔らかな光を採りこむとともに温熱環境を整える「インナーサッシ」としての役割を果たします。
WIC(ウォークインクローゼット)
小さな杉の箱の中にはWICを配置。入り口となる引き分け戸には壁と同じ杉材を採用するなど細部にまでこだわっております。
その豊かな空間は、収納としての利用のみならず今後様々な活動の可能性を連想させます。
古材の再利用
家を建てた当初から広縁で使用していた幅広の柿材を、上がり框の式台として再利用しました。タガヤサン床のホールへと続く2段框にして上がりやすく。味わいのある色調が落ち着きのある質感を醸し出します。
写真の建具は建物建築当時から使われている古建具。歴史を感じさせるその重厚な建具を再利用すべく埋木、寸法調整、塗装を施しました。
近年あまり見かけられなくなった組子細工が施された建具です。もちろん建具職人に調整を依頼して再利用。小さなお孫さんが走り回ってぶつかっても怪我をしないように、ガラスを外してアクリル板を挿入しました。
施主が以前にダイニングテーブルを製作した際に発生したケヤキ板の端材。この端材の形を整えて塗装を施し、スチール脚を取り付けました。計画時は照明のリモコン置台とする予定でしたが、完成品の出来があまりに素晴らしく急遽、美術品の置台に。
素材感
本物件で特に気を遣い、また多いに悩まされた「素材感」。シンプルな素材の組み合わせで「新しすぎず、古すぎず」を目指しました。照明は、素材そのものに温かみのあるもので統一。シンプルなLED裸電球が懐かしさと温かみを演出してくれます。
耐震補強
この建物は、木構造の中でも「伝統工法」と呼ばれる構造形式の建物です。現代の住宅とは異なり、コンクリート基礎や耐力壁がなく、石の上に柱が載っているという昔の工法です。地震が起きた際には、その力を逃して倒壊を防ぐ「免震構造」で、その強さは近年注目されております。しかし、築年数の長さゆえ、部材の老朽化や無理な改築、増築により、その性能を十分に発揮できないケースが多いのも事実であります。本物件も同じような状況でした。
耐震補強をするにあたり、現況を加味した検討を重ね、本物件では「在来工法による補強」を採用しました。地震力を逃す「免震構造」から地震力に抵抗する「耐震構造」とする計画です。具体的には、余分な部分を「減築」した上で、コンクリート基礎を作り、屋根を軽くして、壁を補強するというものです。本物件の耐震補強工事については、西尾市の「木造住宅耐震改修費等補助事業」による補助金制度を活用しました。
耐震補強をするにあたり、現況を加味した検討を重ね、本物件では「在来工法による補強」を採用しました。地震力を逃す「免震構造」から地震力に抵抗する「耐震構造」とする計画です。具体的には、余分な部分を「減築」した上で、コンクリート基礎を作り、屋根を軽くして、壁を補強するというものです。本物件の耐震補強工事については、西尾市の「木造住宅耐震改修費等補助事業」による補助金制度を活用しました。
屋根・外壁
外観は、広縁等を減築したことにより、背の高いシンプルな切妻平屋に。のっぺりとしたプロポーションにならないよう屋根、外壁ともにガルバリウム鋼板の立平葺きを採用し、「線」を大事にするデザインとしました。屋根・外壁とも色のトーンを抑えてシンプルな中にも日本家屋としての「品」を表現しております。
玄関アプローチ
黒とコゲ茶を基調にしたシックな外観から、玄関まわりにかけて、赤みのあるカリンの木材を使用し色調全体のアクセントにしています。
光沢のある美しさが、華やかな趣を漂わせます。
担当
稀に見る難物件が完成し、ホッと一息つく弊社担当の足立。